【ドラえもん映画まつり】のび太の雲の王国

現在、ドラえもん映画45周年を記念して「ドラえもん映画まつり」が開催中です。その中で、筆者が特に心に残っている作品の一つが「雲の王国」。

この映画を初めて見た時、まだ子どもだった筆者ですが、大人になって改めて見返すと、そのテーマの奥深さに驚かされます。今回は、この「雲の王国」を通じて、作品が投げかけるメッセージについて考えてみたいと思います。


雲の王国の醍醐味

雲の王国はもちろん名作です。ドラマ性も高いし社会問題を大きく取り上げた作品と言えるでしょう。大人になって鑑賞すると見えてくる世界も違ってきます。

傲慢?天上人の主張

映画ドラえもんにはおなじみのように毎回ゲストキャラクターが登場しますが、「雲の王国」に登場する天上人たちは一風変わった存在です。
特に、天上人の代表的なキャラクターであるパルパル。彼女は初めこそドラえもんたちに友好的に接しますが、物語が進むにつれ態度が一変します。

「地球がここまで汚れたのは地上人の責任です!あなたたちには地上人の代表として裁判を受けてもらいます!」

突然こんなことを言い出すのです。いやいや、小学生たちを代表にして裁判にかけるのも無茶ですが、その裁判の内容も非情そのもの。

「地上を洗い流した後で、あなたたちは戻してあげるから、そこで暮らしなさい」

こんな冷酷な提案、受け入れられるわけがありません。天上人たちの態度は、正義を掲げながらも、どこか傲慢で独善的。それが物語の緊張感を高めています。


ドラえもんたちも翻弄される展開

ドラえもんたちも、この危機に対して対抗策を練ります。そのひとつが「雲戻しガス」を使った反撃。
普段は穏やかなイメージのドラえもんですが、意外にもノリノリでこの作戦に参加しているのが印象的です。

ただ、この道具も一歩間違えれば大変な事態を招きかねません。
実際、作中では密猟者に悪用されそうになる場面も描かれており、その危険性がリアルに伝わってきます。

現実においても抑止力は必要な反面、使い方を誤ればとんでもないことになる可能性はあります。注意が必要です。


少年とロボットが紡ぐ善意

最終的に、天上人が進めていた「ノア計画」は、のび太やドラえもんが日頃から救ってきた「小人類」「絶滅危惧種」「キー坊」たちの協力によって白紙に戻されます。

少年とロボットの小さな善意が、結果的に大きな危機を救う——そんな希望に満ちた結末は、子ども心にもしっかり響きました。

しかし、大人の視点で見ると、この物語にはまた別の教訓が隠れているように思います。


「雲の王国」が教えてくれること

まず、天上人たちの姿には、「行き過ぎた独善的な活動家」の危うさが垣間見えます。正義を振りかざすあまり、他者の視点を無視する——それがどれほど恐ろしいことかを、映画は教えてくれます。また、ドラえもんたちが使う抑止力も、使い方を誤れば大きな問題を引き起こすというリスクを示しています。

そして何より、映画全体を通して伝わるのは「日々の小さな行いの積み重ねが大切」というメッセージです。のび太とドラえもんがこれまでに築いてきた善意の連鎖が、最終的に危機を乗り越える原動力になったのです。

ECカレント
¥81,400 (2025/01/24 12:44時点 | 楽天市場調べ)

藤子F不二雄先生のメッセージ

「雲の王国」を含む当時の映画ドラえもんシリーズは、環境問題や社会問題といった重いテーマを扱っていました。しかし、その後の作品では徐々にエンタメ性が強調されるようになります。藤子F不二雄先生は、深刻なテーマを扱う一方で、娯楽の持つ素晴らしさも熟知していたのでしょう。

「雲の王国」は、子どもに夢と希望を与えながら、大人にも考えさせられる深いテーマを提供してくれる名作です。ぜひこの機会に、もう一度見返してみてはいかがでしょうか。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です